SUMMARY
この記事の要約
卓球のスピンとは、ボールにかかった回転です。一般的な裏ソフトラバーでほぼ垂直な面を大きく振らずに当てると、上回転は上へ、下回転は下へ、横回転は左右へ返球がずれやすくなります。返球はずれる方向の反対へ面を調整し、ナックルは下回転と同じように持ち上げると浮きやすくなります。回転は、相手の接触時のラケットの動き、球の印と軌道、バウンド後の変化を合わせて読みます。
この記事でわかること
大切なのは、回転の名前だけを暗記しないことです。「返球がどちらへずれたか」「面をどう調整すると台に入るか」を一組で確かめます。ラケット自体が押し倒される話ではなく、同じ面角度でもボールの飛び出す方向が変わるという意味です。
卓球のスピンと返球方向がわかる対応表
次の表は、一般的な裏ソフトラバーでほぼ垂直な面を大きく振らずに当てた場合の目安です。左右はすべて、受ける自分から見た方向で統一しています。ラバーの種類、スイング、球速によってずれ方は変わります。
| 回転名 |
ボールの進行方向と回転 |
返球がずれやすい方向 |
返すための基本補正 |
| 上回転 |
前へ進みながら上側が進行方向へ回る |
↑ 上へ飛び出しやすい |
面を少しかぶせ、前へ押しすぎない |
| 下回転 |
前へ進みながら下側が進行方向へ回る |
↓ 下へ落ちやすい |
面を少し上へ向け、前上方へ運ぶ |
| 右へ外れる横回転 |
前へ進みながら横向きに回る |
→ 自分の右へ外れやすい |
面を左へ向け、相手コートの左側を狙う |
| 左へ外れる横回転 |
前へ進みながら横向きに回る |
← 自分の左へ外れやすい |
面を右へ向け、相手コートの右側を狙う |
横回転は「順横」「逆横」という名前だけで判断しないことが重要です。利き腕やサーブの出し方で呼び方と見え方が変わります。まず自分の返球が右と左のどちらへ外れる回転かを確認してください。
実際の球には、横下回転や横上回転のような混合回転もあります。その場合は縦と横の補正を同時に行います。たとえば右へ外れる横下回転なら、面を少し上へ向けつつ左側を狙います。
表ソフト・粒高・アンチは別に確かめる

ラバーが変わると、相手の回転の受け方も変わります。ニッタクの用具解説では、表ソフトは裏ソフトより相手の回転の影響を受けにくく、粒高は相手の回転を利用した返球ができると説明されています。
表ソフト・粒高・アンチを使う場合は、表の補正量をそのまま当てはめず、自分のラケットで試してください。「影響を受けにくい」は、回転を考えなくてよいという意味ではありません。
スピンでボールの軌道が変わる理由
回転したボールは、飛んでいる間、台で弾んだとき、ラケットに当たったときの3つの場面で変化します。それぞれを分けると、見た目の曲がり方と返球ミスを混同しにくくなります。
物理的には、飛行中は空気から受ける力、台やラケットとの接触時は摩擦や反発が関わります。卓球の物理を扱った研究解説でも、飛行軌道と用具との衝突を別々に説明しています。
飛んでいる間は軌道が曲がる
上回転では、回転による空気の力が下向きに働き、球は沈みやすくなります。下回転ではその力が上向きに働きますが、重力も受けるため、必ず上昇するわけではありません。横回転では左右に曲がる力が働きます。
ただし、目で見える軌道だけでは回転量を正確に決められません。球速、打ち出した方向、高さも軌道に影響するためです。
台で弾むと進み方が変わる
上回転と下回転では、台との接触によって前進速度や回転が変わります。強い下回転をかけた遅い球は、バウンド後に戻ることもあります。ただし、上回転なら必ず加速する、下回転なら必ず戻るという意味ではありません。回転量と球速、台との摩擦によって変わります。
横回転については、空中で左右に曲がる動きと、台に触れた瞬間の方向変化を分けて考えます。「横回転ならバウンドの瞬間に必ず横へ跳ねる」とは判断せず、実際の軌道を追って打つ位置を合わせてください。回転軸が傾いた混合回転もあります。
ラケットに当たると返球方向が変わる
ラバーとボールが触れると、ボールの回転が返球方向に影響します。上回転を垂直な面で受ければ上へ飛び、下回転なら落ちるのが基本です。横回転では左右へ外れます。
面を合わせる目的は、回転を止めることではありません。回転でずれる分だけ、あらかじめ反対方向へ打ち出すことです。強い回転ほど補正を大きくし、弱い回転ほど普段の角度へ戻します。
上回転の見分け方と返し方
上回転は、ドライブや上回転系のサーブで使われます。一般的な裏ソフトで面を垂直に近づけて当てると、返球が上向きになりやすい回転です。
上回転は面を少しかぶせる
ラケット面を少し下へ向け、短いスイングで返します。相手の球威が強いときは、前へ押し出す動きを小さくしてみてください。面を安定させるために、腕や手首を力いっぱい固める必要はありません。まず小さく当てて返す感覚をつかみ、慣れたらドライブで返す練習へ進みます。
オーバーミスが続くときは、面が上を向いていないか、前へ押しすぎていないかを確認します。ネットミスへ変わったら、面を閉じすぎた可能性があります。一度に角度を大きく変えず、少しずつ調整してください。
フォアドライブの動作例は、バタフライの基本技術解説(右利き・左利き)で確認できます。
下回転の見分け方と返し方
下回転は、ツッツキやカット、下回転サーブで使われます。ラケットへ当てるだけでは返球が下へ落ち、ネットにかかりやすい回転です。

下回転は面を開いて持ち上げる
短い下回転は、面を上へ向けてボールの下側を前へ押すツッツキで返せます。長い下回転を攻める場合は、膝を使って低い位置から振り始め、前上方へスイングします。
長い下回転をドライブで持ち上げる手順は、下回転打ちのコツと安定させる手順で確認できます。
ツッツキでネットミスが続くときは、面が下を向いていないか、球の下側を捉えられているかを確認します。オーバーミスへ変わった場合は、面の開きすぎや振りすぎを疑います。ただし、相手の回転が弱くなった可能性もあるため、練習相手にも確かめてください。
横回転の見分け方と返し方
横回転は、返球を自分の右または左へ外します。見分けるときは、相手の利き腕だけで決めず、ラケットがボールのどちら側をこすったかを見ます。
横回転は外れる方向の反対側を狙う
自分の返球が右へ外れるなら、ラケット面を左へ向け、相手コートの左側を狙います。左へ外れるなら、その逆です。最初は中央ではなく、補正する側の半面を大きく狙うと方向をつかみやすくなります。
横回転では、打球前に左右を決めつけないことも大切です。相手がボールに触れた瞬間のラケットの動きを手掛かりにし、球の軌道と合わせて判断します。
横回転がどのサーブで使われるかは、卓球サーブの種類一覧で打ち方と合わせて確認できます。
ナックルは下回転と同じように持ち上げない
ナックルは、回転がかかっていない球を指します。実際には、ごく弱い回転の球もナックル性と呼ばれます。回転が少なくても簡単に返せるとは限りません。VICTASのサーブ解説には、下回転に似た動作と弾道でナックルを出す例が紹介されています。
下回転だと思って面を大きく開いたり持ち上げたりすると、返球が浮きやすくなります。女子カット主戦型選手を対象とした研究でも、弱い下回転のナックル性カットをツッツキさせ、浮いた球を攻める例が挙げられています。ナックルそのものが上回転と同じ性質を持つ、という意味ではありません。
練習では、相手に下回転とナックルを宣言して出してもらい、同じ返し方で高さがどう変わるか比べます。ナックルで浮く場合は、面の開きや上へ運ぶ動きを少しずつ減らしてください。球の長さや高さも変わるため、面を常に垂直に固定すればよいわけではありません。
スピンを読むために見る三つの場所
回転は1つの手掛かりで断定せず、相手の打球、飛んでいる球、バウンドを順番に見ます。
相手のラケットが動いた方向を見る
接触した部分でラケットがボールをどちらへこすったかが、回転を読む手掛かりです。ただし、打球後にラケットの動きを変えるフェイントもあるため、振り終わりの方向だけでは決められません。練習では相手に回転を宣言してもらい、接触時の動きと返球のずれを対応させます。
ボールの印と軌道を見る
ボールの印の動きが見えれば、回転を読む補助になります。ただし、印が見えないだけで強い回転とは限りません。無理に印を見続けようとせず、相手の接触時の動きと球の軌道を合わせて見ます。
バウンド後の伸びと曲がりを見る
バウンド後の速度や進行方向を見て、打つ位置を調整します。レシーブ側から見ると、サーブは相手コートで1回、自分のコートで1回バウンドして届きます。自分のコートで弾んだ後に追いつけるよう、相手側のバウンドから球を追いましょう。バウンドだけで回転の種類を断定する必要はありません。
回転への対応を身につける練習

最初から回転量まで当てようとせず、回転方向、強弱、返球方法の順で練習します。
一種類ずつ同じ場所へ返す
練習相手に上回転だけを送ってもらい、台の中央を狙います。次に下回転を受け、横回転は右に外れる球、左に外れる球の順で練習します。入ったときの面角度を覚えたら、回転を二種類に増やします。
ミスした方向を声に出す
返球後に「上」「下」「右」「左」と外れた方向を言います。相手に同じ回転・球速・コースを繰り返してもらい、次の一球は面を少し調整して違いを比べます。ミスは打点の遅れや体との距離でも起きるため、すべてを回転のせいにはしないでください。
面を固定して回転差を比べる
相手に球速とコースをそろえ、回転の強さだけを変えて送ってもらいます。自分は面角度とスイングの大きさをなるべくそろえ、返球方向の差を比べます。球出しや打ち方にはばらつきがあるので、一球だけで判断せず数球ずつ試してください。次に回転を一定にしてもらい、面角度を変えて中央へ収まる位置を探します。
よくある質問
卓球のスピンとは何ですか?
ボールにかかった回転です。上回転、下回転、横回転が基本で、実戦では横下回転や横上回転のような組み合わせも使われます。
上回転はどちらへ返球が飛びますか?
一般的な裏ソフトラバーでほぼ垂直な面を大きく振らずに当てると、上へ飛び出しやすくなります。面を少しかぶせ、前へ押しすぎないように返します。
下回転がネットにかかるのはなぜですか?
下回転の影響で、ラケットに当たった返球が下向きになるためです。面を少し上向きにして前上方へ運ぶと、ネットを越えやすくなります。
横回転はどちらへ面を向ければよいですか?
返球が外れる方向と反対に面を向けます。右に外れる球なら左側、左に外れる球なら右側を狙うのが基本です。
横下回転はどう返しますか?
下回転への上向き補正と、横回転への左右補正を組み合わせます。たとえば返球が下と右へ外れるなら、面を少し上へ向けながら左側を狙います。
回転が強いか弱いかはどう見分けますか?
相手のラケット速度、ボールの印、飛行中の軌道、バウンド後の変化を合わせて見ます。1つの手掛かりだけでは断定せず、実際に当てた返球のずれも判断材料にします。
スピンを読めないときはどう返せばよいですか?
すべての回転を同じ面角度で返す方法はありません。練習では相手に回転を教えてもらい、同じ球を繰り返し受けて面を調整します。実戦では相手が回転を変えるため、前の返球だけで次の面角度を決めず、接触時の動きと球の軌道を毎回確認してください。