SUMMARY
この記事の要約
卓球の団体戦は選手の実力を足し算するだけでは勝てず、3勝先取の5試合制ならどの試合で3勝を取るかを逆算し、全員の役割を決めてオーダーを組みます。必要人数や同じ選手の出場回数は大会ごとに異なるため、まず大会要項を確認します。4シングルス1ダブルスの形式では、ダブルスのペア、エースの配置、残りのシングルスの順に検討します。格上には当て馬も選択肢ですが、相手のオーダーを読み違えると狙いが外れるので、試合前に複数のオーダー案とベンチの役割を決めておきます。
この記事でわかること
卓球の団体戦で勝つための大原則とは?

団体戦における勝利の鍵は、個人の実力よりもチーム全体の総合力です。
一般的な5試合制なら、エースが全勝しても1人では勝てません。
3勝をどこで取るかを考え、全員の役割を決めることが結果に直結します。
個人戦との決定的な違い
個人戦は自分の実力だけを頼りに戦います。
一方で団体戦は、チームメイトの勝敗を背負うプレッシャーが存在します。
また、相手チームとの組み合わせ次第で、同じメンバーでも勝敗が変わります。
この「組み合わせで勝敗が動く」点が、団体戦ならではの戦略の余地です。
勝敗を分けるダブルスの重要性
多くの団体戦でダブルスは1試合だけ組まれ、勝敗の分水嶺になります。
シングルスで2勝1敗、1勝2敗となった後の流れを左右するためです。
ペア特有の動き方や戦術を学ぶなら、ダブルスのコツと勝ち方も参考にしてください。
flowchart TD
A[団体戦の勝利] --> B[シングルスの強化]
A --> C[ダブルスの必勝]
C --> D[相性の良いペア結成]
C --> E[連携練習の徹底]
ダブルスの勝利はチーム全体に大きな勢いをもたらします。
チーム全体の士気と応援の効果
ベンチからの応援は、試合中の選手を支えます。
得点のたびに声を出す、失点後に拍手で送り出すなど、応援の仕方をチームで決めておきます。
ただし相手を威嚇するような声や、ラリー中の大声はマナー違反です。
団体戦の試合形式とルールはどうなっている?
試合形式は大会のカテゴリーによって大きく異なります。
出場する大会の要項を事前に確認し、形式に合わせてオーダーを考えます。
大会別の試合形式の比較
| 大会 |
人数 |
試合の順番 |
同じ選手の出場 |
勝敗 |
| 全中(中学の全国大会) |
6人 |
シングルス、シングルス、ダブルス、シングルス、シングルス |
1人1試合 |
5試合のうち先に3勝 |
| 全国高校総体(インターハイ) |
最少4人、最大6人 |
シングルス、シングルス、ダブルス、シングルス、シングルス |
エースを2試合に起用できる |
5試合のうち先に3勝 |
| オリンピック(パリ2024男女団体) |
3人 |
ダブルス、シングルス4試合 |
1人がシングルス2試合、残る2人がダブルスとシングルス各1試合 |
5試合のうち先に3勝 |
| 世界選手権 |
3人(登録は5人まで) |
シングルス5試合 |
2人が2試合、1人が1試合 |
5試合のうち先に3勝 |
| Tリーグ |
大会規定による |
ダブルス、シングルス3試合、ビクトリーマッチ |
大会規定による |
4試合で決着しない場合はビクトリーマッチ |
出典:Meコーチの卓球塾「卓球団体戦のルール・順番と人数」、Rallys「団体戦の試合形式を紹介」(2026年9月確認)。形式は年度や大会で変わることがあるため、必ず最新の大会要項で確かめてください。
中学・高校の一般的な形式
中学や高校の大会では、4シングルス1ダブルスの5試合制が主流です。
合計5試合のうち3勝したチームが勝利します。
中学の大会では、ダブルスに出た選手がシングルスに出られないため、6人でチームを構成する必要があります。
全員の起用方法を考える必要があります。
社会人や国際大会の形式
社会人の大会では、シングルスだけの形式や、ダブルスを2試合含む形式など、大会ごとに違いがあります。
国際大会でも種目や開催年で形式が異なります。パリ2024の男女団体は3人制でダブルス1試合とシングルス4試合、世界選手権の男女団体は3人制でシングルス5試合の形式です。ITTFのパリ2024試合記録では、団体戦の最初にダブルスが組まれています。一方、ロサンゼルス2028の種目案内には混合団体が含まれており、過去の男女団体の形式をそのまま当てはめることはできません。
少ない人数で戦う形式ほど、エースが2試合とも勝つことが求められます。
オーダーは相手と同時に提出する
多くの大会では、両チームが試合前にオーダーを提出し、試合開始時に互いの並びがわかります。
相手の並びを見てから変えることはできません。
そのため、相手が組みそうなオーダーを予想し、複数のパターンを想定して決めます。
オーダー表や試合結果の記録方法は卓球スコアシートの書き方で確認できます。
団体戦の勝敗を左右するオーダーの組み方とは?

相手チームの戦力分析と最適な選手配置が勝利への近道です。
4シングルス1ダブルスの形式では、次の3つの手順で組むのが基本です。
flowchart LR
A[1. ダブルスのペアを決める] --> B[2. エースを前半に置く]
B --> C[3. 残りのシングルスを相性で決める]
手順1:ダブルスのペアを決める
最初にダブルスを決めます。
ダブルスでは個人の技術以上にペアの相性が求められます。
右利きと左利きの組み合わせは、打った後に動く方向がぶつかりにくく、ダブルスで有利とされます。
日頃から固定ペアで練習を重ねます。
手順2:エースの配置を決める
エースの配置位置によって試合展開は大きく変わります。
相手のエースは1番か2番に出てくることが多いため、自チームのエースも前半に置いて先制点を狙うのが基本的な方法です。
エースが2試合に出られる大会では、前半のシングルスとダブルスの両方に起用する方法もあります。
一方で、最終戦にエースを置き、勝負どころを託す方法もあります。
手順3:残りのシングルスを相性で決める
残りの選手は、相手の選手との相性で配置します。
過去に負けた相手や、苦手な戦型の相手に当たりそうな位置は避けます。
自チームの2番手は、相手のエースとの対戦を避けて後半に置く考え方もあります。
相手のオーダーを予測するコツ
過去の試合結果やスコアシートから、相手の起用パターンを分析します。
相手チームのエースが何番に出てくるかの予測が特に重要です。
情報収集の徹底が勝敗を大きく左右します。
flowchart LR
A[相手の分析] --> B[エースの配置予測]
B --> C[自チームのオーダー決定]
C --> D[試合での実践]
人数別のオーダー例
選手を実力順にA(エース)、B、C、D、E、Fとし、4シングルス1ダブルスの形式で考えます。
あくまで考え方の例なので、相手と自チームの状況に合わせて調整してください。
| 人数 |
1番 |
2番 |
3番(ダブルス) |
4番 |
5番 |
考え方 |
| 6人(全中など、1人1試合) |
A |
C |
B・E |
D |
F |
Bをダブルスの軸にし、前半でAの1勝を確実にする |
| 5人(エースが2試合出られる場合) |
A |
B |
A・C |
D |
E |
Aをシングルスとダブルスの2試合に起用する |
| 4人(2人が2試合出る場合) |
A |
B |
A・B |
C |
D |
上位2人で3勝を取りにいき、後半は1勝を上積みする |
6人制では、全員が1試合ずつしか出られないため、ダブルスにエースを入れると、シングルスでエースの1勝を失います。
そのため、2番手をダブルスの軸にする形がよく使われます。
ただし、どの形が最適かは相手次第です。
ダブルスが強い相手なら、ダブルスを捨てる代わりにシングルスで3勝を狙う組み方もあります。
3勝の取り方から逆算する
オーダーを組むときは、「どの3試合で勝つか」を先に決めます。
自チームの選手ごとに、予想される相手との勝率を「勝てる」「五分」「厳しい」の3段階で見積もります。
| 予想 |
試合数の目安 |
オーダーでの対応 |
| 勝てる試合が3つ以上 |
3試合以上 |
取りこぼしのない順番にする |
| 勝てる試合が2つ、五分が2つ |
4試合 |
五分の試合に調子の良い選手を回す |
| 勝てる試合が1つ以下 |
1試合以下 |
相性で勝機を作る配置を考える |
勝てる試合が3つあるなら、奇策は必要ありません。
勝てる試合が足りないときに初めて、次の章の当て馬や相性重視の配置を検討します。
格上チームに勝つためのジャイアントキリング戦略とは?
格上の相手には正攻法だけでは届かないことがあります。
相性と戦術の駆使で番狂わせを狙います。
個人戦で格上を倒す戦術は卓球で格上を倒す方法にまとめています。
当て馬戦術の考え方
相手の絶対的なエースに、自チームで勝ち目の薄い選手をあえてぶつける考え方を、当て馬と呼びます。
自チームのエースは、相手の2番手以降と確実に対戦させます。
1敗を覚悟する代わりに、残りの試合で3勝する確率を高める手段です。
ただし相手のエースの位置を読み違えると、自チームのエースが相手のエースと当たり、狙いが外れます。
戦型相性を重視したぶつけ方
卓球には戦型による有利不利が存在します。
カットマンには、粘り強くドライブを打ち続けられる選手を当てます。
相手の苦手な戦型の選手を意図的に配置します。
戦型ごとの特徴は卓球の戦型診断で整理しています。
当て馬役の選手には戦術意図を事前に説明しましょう。
本人のモチベーション低下を防ぎます。
プレッシャーをかける試合展開
前半戦の勝利で相手にプレッシャーを与えます。
格上のチームでも、2試合を先に落とすと焦りが出やすくなります。
勢いに乗ったまま勝負を決めます。
団体戦特有のプレッシャーをどう乗り越える?

プレッシャーを味方につけるメンタルコントロールが求められます。
ベンチからのサポートが選手の心を支えます。
緊張を力に変えるメンタル術
適度な緊張は集中力を高めます。
深呼吸をして目の前の1球に集中します。
普段通りのプレーの維持が大切です。
試合中に崩れた精神状態を立て直す方法は、試合中にメンタルを戻す手順で詳しく解説しています。
勝利を呼び込むベンチワーク
ベンチコーチが選手に助言できる時間は、ルールで決まっています。
日本卓球協会の「卓球の基本的なルール」では、各ゲームの間に1分間の休憩があり、ベンチでアドバイスを受けたり水分補給をしたりできます。
また、個々のシングルスは選手1人、ダブルスはペア全体で1試合に1回、1分以内のタイムアウトを取れます。団体戦では選手・ペアまたはチームの主将が申請できます。ダブルスの2人がそれぞれ1回ずつ取れるわけではありません(出典:ITTF規則3.4.4.2・3.4.4.2.1)。
限られた時間なので、助言は1つか2つに絞ります。
失点した選手にはポジティブな言葉をかけ、「次はバックに長いサーブ」のように具体的な行動を伝えます。
ベンチの雰囲気が試合の流れを左右します。
試合前に確認するチェックリスト
| 確認すること |
内容 |
| 大会要項 |
試合形式、人数、ダブルス選手のシングルス出場の可否、オーダー提出の時刻 |
| 選手の状態 |
けが、体調、当日の調子 |
| 相手チームの情報 |
過去の試合結果、エースの起用位置、戦型 |
| オーダーの候補 |
相手のエースの位置ごとに2つか3つのパターン |
| ベンチの役割 |
ベンチコーチ、記録係、声出しの担当 |
| 持ち物 |
ゼッケン、ユニフォームの色、予備のラケット |
ゼッケンの付け方は卓球のゼッケンの書き方で確認できます。
チーム力を高める日々の練習メニューとは?
団体戦を想定した実戦練習を取り入れます。
本番と同じ緊張感を持って練習に臨みます。
団体戦を想定したゲーム練習
チームを2つに分けて模擬団体戦を行います。
オーダーの組み方やベンチワークの練習にもなります。
実戦感覚を養うために最適なメニューです。
模擬試合を日々の練習に組み込む際は、部活・クラブの練習メニューの作り方で、基礎練習と実戦練習の時間配分を確認できます。
ダブルスの連携強化メニュー
ダブルス特有のフットワーク練習を繰り返します。
サーブからの攻撃パターンをペアで共有します。
互いの動きを確認する作業で連携を深めます。
よくある質問
団体戦のオーダーは誰が決めるべきですか?
チームの監督やキャプテンが最終決定を下します。
選手の希望やコンディションのヒアリングが欠かせません。
選手全員が納得できる形で決めることが重要です。
事前の綿密なコミュニケーションでチームの結束力を高めます。
中学の卓球団体戦は何人必要ですか?
全中など中学の大会では、4シングルス1ダブルスの5試合を1人1試合で戦うため、6人が必要です。
地区大会では独自の規定がある場合もあるので、大会要項で確かめてください。
ダブルスは何番目の試合ですか?
中学・高校の4シングルス1ダブルスの形式では、3番目がダブルスです。
パリ2024のオリンピック男女団体では1番目がダブルスでした。2028年は混合団体が種目に含まれるため、参加・観戦する大会の形式をその都度確認してください。
大会によって順番が違うため、要項で確認してください。
ダブルスのペアは頻繁に変更しても良いですか?
ペアの固定による連携強化が勝利への近道です。
頻繁な変更はコンビネーションの低下を招きます。
相性の良い2人を見つけたら、長期的な視点で育てることが欠かせません。
固定ペアでの反復練習で独自の攻撃パターンを確立します。
試合中に緊張して実力が出せない時はどうしますか?
深呼吸で心拍数の安定を図ります。
ゲーム間の休憩やタイムアウトで、ベンチから具体的な声かけをして選手の不安を取り除きます。
目の前の1球への集中がプレッシャー軽減に繋がります。
チーム全体でのサポート体制の構築が勝利の鍵です。