SUMMARY
この記事の要約
卓球の試合前ラリーは、公式戦では最長2分の短い時間で、台やボール、照明、自分の打球感を確かめるために行います。フォアとバックは、相手が返しやすい軽い上回転で感覚を確かめます。時間に余裕があり両者が必要とする場合は、ツッツキで下回転への面の角度も確認します。強打や断りのないコース変更は控え、確認が済んだら一声かけて終えます。
この記事でわかること
この記事で扱うのは、試合開始直前に対戦相手と試合台で行う「試合前の練習ラリー」です。卓球の「ラリー」という言葉そのものの意味(サーブから1点が決まるまでの打ち合い)や、ラリーを続けるコツは、卓球のラリーとは?意味と続かない原因・続けるコツで解説しています。
卓球の試合前に相手とラリーをするのは、短時間で台、ボール、照明、自分の打球感を確かめるためです。相手を攻略する練習でも、技術を上達させる時間でもありません。基本打ちを一定のテンポで続け、試合の一球目を迷わず打てる状態に整えることが目的です。
公式戦では、試合開始直前に試合台で行う練習は最長2分と定められています。時間が短いため、強打や複雑な展開を試すより、フォア、バック、時間が余ればツッツキを順番に確認する方が実戦的です。
卓球の試合前ラリーはなぜするのか

試合前ラリーには、主に4つの目的があります。
- 試合台の弾み方を確かめる
- 使用球の硬さや飛び方を確かめる
- 照明、床、競技領域の見え方や動きやすさを確かめる
- 自分の打球点、面の角度、足の位置を整える
会場が変わると、同じ打ち方でもボールの見え方や台からの跳ね方が違って感じられます。試合前ラリーは、その差をなくすのではなく「今日はこの感覚」と受け入れ、自分の基準を微調整する時間です。
準備運動とは役割が違います
試合前ラリーだけで体を温めようとすると、短い時間で強く振ることになり、力みや疲労につながります。関節を動かし、体温を上げる準備は、コートに入る前に済ませておくのが基本です。
肩や体幹を動かす順番は、卓球のストレッチと準備運動メニューで確認できます。試合前ラリーは準備運動の続きではなく、用具と会場に自分の感覚を合わせる最終確認と考えてください。
上達練習にしないことが大切です
試合直前にフォームを直したり、苦手な技術を反復したりしても、短時間では身につきません。むしろ意識する項目が増え、試合中の判断が遅れやすくなります。
確認するのは「いつもの打点で当たるか」「必要以上に飛ばないか」「足が止まっていないか」程度で十分です。違和感があっても、その場で大改造せず、面の角度や立ち位置を小さく調整します。
ラリーの途中で足が止まる感覚が続く場合は、試合前に直そうとせず、普段の練習で打った後の戻りを速くする練習に取り組んでください。
試合前ラリーは何分できるのか
国際卓球連盟の現行規則では、選手は試合開始直前に試合台で最長2分間練習できます。通常のゲーム間には練習できず、規定時間の延長には審判長の許可が必要です。日本卓球協会も、競技開始直前の練習を2分間として案内しています。
大会ごとの進行や審判の指示がある場合は、そちらに従います。練習試合や地域の大会では運用が異なることもあるため、開始前に確認すると安心です。
2分を全部使い切る必要はありません
両者の感覚確認が済んだら、2分を待たずに終えて構いません。大切なのは時間の長さではなく、必要な項目を確認できたかどうかです。
一方だけが急いで打ち切ったり、相手がまだ構えているのに球を止めたりすると、気まずさが残ります。終えるときは相手の様子を見て、「大丈夫です」「お願いします」と一声かけます。審判から時間を告げられたら、すぐにボールを止めて試合開始の手順へ移ります。
消耗しない試合前ラリーの基本手順

迷ったときは、フォア、バック、必要ならツッツキの順で進めます。球数を数える必要はありません。両者が数往復して感覚を確かめられたら、次へ移ります。
1.フォア対フォアで台とボールの弾みを確かめます
最初はフォア側で、山なりになりすぎない安定した上回転を送ります。威力は普段の基本打ちより少し抑え、相手が同じ位置で返しやすいコースを狙います。
見るのは、台からの跳ね方、打球音、ボールの飛び出し、自分の打点です。いきなり全力で打つと、相手の返球が乱れ、自分も打点を確認しにくくなります。
2.バック対バックで面の角度とテンポを合わせます
次にバック側へ移り、コンパクトなスイングで続けます。バックは体の正面で処理するため、照明による見え方や距離感のずれを確認しやすい打法です。
フォアからバックへ変えたいときは、急にコースを変えず、「バックお願いします」と伝えます。無言で逆側へ打つと、相手にとっては意図的なコース変更に見えることがあります。
3.必要ならツッツキで下回転への角度を確かめます
大会の進行や残り時間に余裕があり、両者が必要とする場合はツッツキも行います。下回転に対する面の角度と、台上でのボールの止まり方を見るのが目的です。
長く続ける必要はありません。サーブからの展開や台上の駆け引きに発展させず、短い確認で終えます。時間が少なければ、フォアとバックだけでも問題ありません。
4.一声かけてラリーを終えます
自分の確認が終わったら、相手が打ち終えたところでボールを手に取り、「大丈夫です」「ありがとうございました」と伝えます。審判がいる試合では、その指示に従ってサービス、レシーブ、エンドの確認へ進みます。
この後の得点やサービスの流れに不安がある場合は、初心者が覚えたい卓球の基本ルールを事前に確認しておくと落ち着いて入れます。
相手にどんな球を送ればよいのか
基本は、相手が同じ場所で返しやすい軽い上回転です。速さよりも、長さとコースを安定させます。深すぎる球、ネット際に落ちる球、左右へ散る球は避けます。
強打や決め球は控えます
試合前ラリーでスマッシュや全力ドライブを打っても、試合に必要な感覚確認は増えません。相手が球を拾いに行く時間が増え、自分も体力を使います。強く打ちたい場合でも、相手が無理なく返せる範囲に収めます。
苦手な球をわざと送る時間ではありません
相手のミドルへ集める、急にコースを変える、強い回転で詰まらせるといった打ち方は、試合前ラリーの目的から外れます。得点を競う時間ではないため、互いに確認しやすい球を続ける方が、自分の準備にも役立ちます。
粒高や表ソフトの相手でも基本は同じです
相手のラバーによって返球の回転や軌道が変わることはあります。それでも、最初から変化量を探ろうとして強く回転をかけ続ける必要はありません。一定の上回転を送り、返ってきた球を無理なく収めます。
変化が大きくて続かない場合は、速度と回転を落とします。相手も打ちやすくなり、自分は当て方を確認できます。
試合前ラリーで観察するのは3項目だけ
相手を見ること自体は問題ありませんが、短いラリーから弱点を決めつけるのは危険です。試合前は相手の攻略より、自分が最初の数本を安全に入れるための情報を集めます。
球離れと返球のテンポ
相手の打球が想定より早く来るか、少し待ってから来るかを見ます。これは弱点探しではなく、自分の準備を早めるかどうかを決める材料です。
回転による軌道の変化
返球が伸びるか、失速するか、台に着いてから沈むかを見ます。ただし、基本打ちの球質がそのまま試合中の球質になるとは限りません。「この人はこの回転に弱い」と断定せず、最初のゲームで改めて確認します。
自分が取りやすい立ち位置
最も重要なのは相手ではなく、自分の位置です。打球点が詰まるなら半歩下がり、届きにくいなら構えを少し前へ移します。照明で球を見失いやすい場所や、床の滑り方もこの時点で確かめます。
相手の戦型や配球を判断するのは、得点が始まってからです。観察を戦術につなげる手順は、1ゲーム目に相手を観察する考え方で整理しています。
試合前ラリーで避けたい行動
短い時間ほど、何をしないかが重要です。
- 全力で打ち続けて息を上げる
- 断りなくコースや球種を変える
- 相手が拾えない場所へ何度も打つ
- ミスのたびにフォームを修正する
- 相手の用具や技術を見て勝敗を決めつける
- 審判の終了合図の後も打ち続ける
調子が悪く感じても、試合前ラリーの出来と試合結果は別です。相手も返しやすい球を選んでいるため、本番のサービスや配球はまだ分かりません。確認できた事実だけを持って、最初のゲームへ入ります。
緊張しているときの確認項目

緊張すると、強く打って調子の良さを確かめたくなります。しかし、力を入れるほどミスが増え、さらに不安になりがちです。次の3点だけを順番に確認します。
- 足裏で床を捉え、軽く足を動かせているか
- 肩と握りに余計な力が入っていないか
- ボールを打点まで見て、同じ位置へ返せているか
ミスが出たら、次の一球は速度を落として台へ収めます。試合前ラリーの成功は、良い球を見せることではなく、試合開始時に迷いを1つ減らすことです。
まとめ
卓球の試合前ラリーは、台、ボール、会場、自分の打球感を確かめる時間です。公式戦では最長2分のため、フォア、バック、必要ならツッツキの順に、返しやすい球で進めます。
強打や弱点探しに時間を使わず、球離れ、軌道、自分の立ち位置だけを確認してください。感覚が整ったら相手へ一声かけ、審判の指示に従って終えます。上達練習を持ち込まず、試合の一球目を打つ準備に徹することが、消耗せずに終えるコツです。
よくある質問
卓球の試合前ラリーはなぜ行うのですか?
試合で使う台とボールの弾み、照明による見え方、床の動きやすさ、自分の打球感を確認するためです。相手の弱点を探したり、技術を上達させたりする時間ではありません。
公式戦の試合前ラリーは何分ですか?
国際卓球連盟の現行規則では、試合開始直前に試合台で行う練習は最長2分です。大会独自の進行や審判の指示がある場合は、それに従います。
試合前ラリーはどちらから打ち始めますか?
審判や大会の進行に従い、ボールを持った側から相手が受けやすい球を送れば問題ありません。迷ったら相手を見て軽く合図し、フォア対フォアから始めます。
フォアとバックは何球ずつ打てばよいですか?
決まった球数はありません。数往復して打点と弾みを確認できたら、相手に声をかけて次へ移ります。球数をそろえることより、2分以内で互いに確認できることが大切です。
ツッツキやドライブも行った方がよいですか?
必須ではありません。基本はフォアとバックで、時間に余裕があり両者が必要ならツッツキを短く行います。全力ドライブや複雑な展開練習は、疲労と時間の浪費につながるため控えます。
試合前ラリーを早く終えてもよいですか?
両者の確認が済んでいれば、2分を使い切る必要はありません。「大丈夫です」「お願いします」と相手に伝え、審判の指示に従って試合開始の手順へ進みます。
相手が強打してきたらどうすればよいですか?
無理に同じ強さで打ち返さず、速度を落として安定した球を送ります。続けにくい場合は「少しゆっくりお願いします」と伝えて構いません。試合前に張り合って体力を使う必要はありません。