インナーフォース レイヤー ALCとZLC・ALC.Sの違い|系列10本を公式仕様で比較

インナーフォース レイヤー ALC・ALC.S・ZLCの違い
目次

この記事の要約

インナーフォース レイヤー ALCは、バタフライが「インナーファイバー」と呼ぶ配置で特殊素材を入れた攻撃用ラケットの、基準になる1本です。2026年10月23日に公式の製品ページで見た仕様は木材5枚+アリレート カーボン2枚、板厚6.0mm、平均重量91g、メーカー希望小売価格16,500円(税込)で、発売は2015年4月21日です。

同じ系列には、板を薄くしたALC.S、素材をZLカーボンに替えたZLC、さらに張本智和選手などの名前が入ったモデルがあり、シェークの攻撃用だけで10本が並びます。名前が似ているうえ、価格の高いほうがよく弾むとも限りません。候補を絞るときは、まずレイヤー3本の重さと弾みを比べてみましょう。以下の比較表で系列10本の違いを確認できます。同じ価格のアウター配置の製品との違いや、中学生・中級者が買い替える前の確認点、ラバーの選び方も順に見ていきます。打球感についての記述は試打ではなく、バタフライの説明文から引いています。

インナーフォース系列の全体図(2026年10月時点の現行10本)

バタフライ公式のインナーファイバーのラケット一覧には、2026年10月23日時点でシェークの攻撃用が10本載っています。次の図では、10本を「どの特殊素材を使うか」と「ブレード(板)の大きさ」で分けています。

インナーフォース系列のシェーク攻撃用10本を、縦に特殊素材(アリレート カーボン・ZLカーボン・スーパー アリレート カーボン・スーパーZLカーボン)、横にブレードの大きさ(157×150mmと158×152mm)で分けた表。反発特性はレイヤー ALC 10.7、レイヤー ALC.S 10.1(最小)、張本智和 ALC 10.7、オフチャロフ ALC 11.7、レイヤー ZLC・フランチスカ ZLC・アポロニア ZLC・張本智和 ZLCがすべて10.5、張本智和 SUPER ALC 11.4、張本智和 SUPER ZLC 12.0(最大)
気になっている1本をこの図で探し、同じ列の素材違いや同じ行の大きさ違いから比べてみましょう。

素材とブレードの大きさで並べた10本

表の数字は反発特性です。バタフライが同じ条件で弾みを測った値を示し、大きいほどよく弾みます。

特殊素材 ブレード157×150mm ブレード158×152mm
アリレート カーボン レイヤー ALC(10.7)
レイヤー ALC.S(10.1)
張本智和 ALC(10.7)
オフチャロフ ALC(11.7)
ZLカーボン レイヤー ZLC(10.5)
フランチスカ ZLC(10.5)
アポロニア ZLC(10.5)
張本智和 ZLC(10.5)
スーパー アリレート カーボン なし 張本智和 SUPER ALC(11.4)
スーパーZLカーボン なし 張本智和 SUPER ZLC(12.0)

製品名の「インナーフォース」は省略しています。数値はバタフライ公式の各製品ページ(2026年10月23日確認)。

表から分かることは3つあります。

  • 反発特性は10.1から12.0まで幅があり、最も小さいのがレイヤー ALC.S、最も大きいのが張本智和 SUPER ZLCです
  • 「SUPER」が付く素材を使っているのは張本智和選手のモデルだけで、レイヤーの名前が付く3本はいずれも通常の素材です
  • ZLカーボンを使う4本は、ブレードの大きさにかかわらず反発特性がすべて10.5です

価格はレイヤー ALCとALC.Sの16,500円から、張本智和 SUPER ZLCの41,800円まで開きがあります。数値の測定は、2026年版カタログによるとバタフライの研究開発部が2026年1月までに行ったテストで、平均重量も同じ時期までの製造実績から出した値です。

製品名に「インナーフォース」が付かない1本

アポロニア ZLCは名前に「インナーフォース」が入っていませんが、公式のブレード構成には[インナーファイバー]と書かれ、インナーファイバーの一覧にも載っています。そのため、この記事では系列の10本に数えています。

10本に共通する作り

10本とも、木材5枚の合板に特殊素材を2枚加えた構成で、特殊素材は中央の板(中板)を挟む位置に入っています。違うのは、特殊素材の種類、板の厚さ(5.5〜6.2mm)、ブレードの大きさ、グリップの種類です。

レイヤー3本は2026年版カタログの45ページにも載っており、カタログの反発特性・振動特性は製品ページと同じ数値です。2015年に発売されたレイヤー ALCとZLCも、2026年10月時点で販売が続く現行品にあたります。製品ページには、バタフライのラケットはすべてラージボールの試合にも使えるという注記もあります(ラージボールの用具はラージボール卓球とは?で整理しています)。

攻撃用の「ZLF」は国内公式サイトに製品ページがない

「インナーフォース レイヤー ZLF」という名前で探す人もいますが、攻撃用のZLFは2026年10月23日時点で国内の公式サイトに製品ページがなく、インナーファイバーの一覧にも載っていません。販売終了の告知は確認できなかったため、廃番かどうかはこの記事では判断していません。

一覧にあるZLFは、カット用の「インナーシールド レイヤー ZLF」です。板厚5.1mm、ブレード166×155mm、反発特性5.5で、攻撃用の10本とは用途が違うラケットです。

レイヤー3本(ALC・ALC.S・ZLC)の違い

レイヤーの名前が付く3本は、ブレードの大きさ(157×150mm)が同じで、FL・ST・ANの3種類のグリップから選べます。公式の仕様を、項目ごとに横に並べました。

項目 レイヤー ALC レイヤー ALC.S レイヤー ZLC
特殊素材 アリレート カーボン アリレート カーボン ZLカーボン
板厚 6.0mm 5.5mm 5.7mm
平均重量 91g 88g 92g
反発特性 10.7 10.1 10.5
振動特性 9.4 8.4 9.5
価格(税込) 16,500円 16,500円 23,650円
FL・ANのグリップ 100×25×34mm 100×24×34mm 100×24×34mm
STのグリップ 100×23×28mm 100×23×28mm 100×23×28mm
発売日 2015年4月21日 2016年11月21日 2015年4月21日

2026年10月23日にバタフライ公式の製品ページで確認。価格はメーカー希望小売価格です。グリップは長さ×厚さ×端の幅。

3本の関係を短くまとめると、ALCが基準、ALC.Sは薄く軽く弾みを抑えたもの、ZLCは素材を替えたものです。

レイヤー3本を製品画像つきで並べた比較。ALCは16,500円・反発特性10.7・91g・6.0mm。ALC.Sは16,500円・10.1・88g・5.5mmで、ALCより0.6小さく3g軽く0.5mm薄い。ZLCは23,650円・10.5・92g・5.7mmで、ALCより7,150円高く、反発特性は10.7より小さく、1g重い
店で3本を見比べるときは、価格の順と反発特性の順が同じではないことを頭に入れておきましょう。

ALC:系列の基準になる1本

公式の製品ページは、レイヤー ALCを次の一文で紹介しています。

「ボールをつかむ感覚」が特長であるインナーファイバー®仕様のラケット。

出典:バタフライ公式 インナーフォース レイヤー ALC

続けて、アリレート カーボンによって「多くの場面で弾みとコントロールのバランスの良さを発揮します」と書かれています。張本智和選手のALCモデルや、オフチャロフ ALCの説明文にも「インナーフォース レイヤー ALC」との比較が出てきます。公式の説明の中でも、系列の比べる基準として扱われている製品です。

反発特性10.7は、特殊素材を使わない木材5枚合板のメイス アドバンス(10.6)と0.1しか違いません。一方、平均重量の91gは、系列10本の中ではZLCの92gに次いで重い表記です。レビューサイトなどには86gという重さも残っていますが、この記事では現在の公式値の91gを使って比べています。

ALC.S:板を薄くして回転のかけやすさを狙ったモデル

ALC.Sは、ALCより0.5mm薄い5.5mmの板で作られています。公式の説明によると、ブレードを薄くして木材と合板の構成を新しく設計したことで「回転のかけやすさと安定性を向上させました」。そのうえで、「回転量が多い前陣カウンタードライブを武器に、ラリーを優位に進めたい選手にお勧め」のラケットと位置づけています。

数値はALCと比べて、平均重量が3g軽く、反発特性が0.6小さい表記です。反発特性10.1は、先に挙げた木材5枚合板のメイス アドバンス(10.6)より小さい値でもあります。振動特性8.4は系列10本で最も小さく、公式の定義では手に響きやすい側に入ります。

軽くて弾みが小さいと聞くと初心者向けに思えますが、公式は対象のレベルを書いていません。勧められているのは、台の近くで回転量の多いカウンタードライブを打ちたい選手です。

ZLC:価格は高いが「弾む上位版」ではない

ZLCは素材をZLカーボンに替えたモデルで、公式は「打球の威力と安定性を両立させた高性能モデル」と紹介しています。素材については「軽量でありながら弾みの高さとしなやかさを併せ持つZLカーボン」と説明されています。

ただし、製品としての数値は次のとおりです。

  • 価格はALCより7,150円高い23,650円
  • 反発特性は10.5で、ALCの10.7より小さい
  • 平均重量は92gで、ALCより1g重く、系列10本で最も重い

説明にある「軽量」はZLカーボンという素材についての言葉で、製品の平均重量ではありません。値段の差を弾みの差と考えず、素材の違いとして比べてください。

ZLカーボンのラケットのグリップを削るとき

公式の製品ページには、グリップや指が当たる部分を削る際に繊維が毛羽立つことがあり、その場合は240番以上の紙やすりで仕上げるよう注記があります。握りやすく加工する前に読んでおいてください。

FL・ST・ANの3種類から選べるのはレイヤーだけ

系列10本のうち、ANグリップを選べるのはレイヤーの3本だけです。それ以外の7本にANの設定はありません。

FLとANの寸法は、ALCが厚さ25mm、ALC.SとZLCが24mmで、1mm違います。STは3本とも同じ寸法です。AN(アナトミック)とFL・STの形の違いは卓球のグリップ形状の違いと選び方で公式寸法を並べて比べています。

インナーとアウターの違い:同じ価格のアウターフォースと比べる

バタフライのアウターファイバー/インナーファイバーの説明では、特殊素材を表面の板(上板)の隣に置く設計をアウターファイバー、中板を挟むように置く設計をインナーファイバーと呼んでいます。アウターは「スピードのある打球を容易にします」とされ、インナーについては次のように書かれています。

アウターファイバーラケットよりもボールをつかむ感覚をもたらすのが特徴です。

出典:バタフライ公式 アウターファイバー/インナーファイバー

ブレードの7枚を1枚ずつ浮かせて重ねた模式図。左のインナー配置は特殊素材2枚が中板のすぐ上下にあり、右のアウター配置は特殊素材2枚が両面の上板のすぐ内側にある。公式の説明として、インナーはアウターよりも「ボールをつかむ感覚」、アウターは「スピードのある打球を容易に」すると添えている
候補のラケットは、製品ページのブレード構成の欄に[インナーファイバー]の表記があるかを確認しておきましょう。

図は配置の違いを示す模式図で、層の厚さと間隔は実物と異なります。同じページによると、バタフライがインナーファイバーを初めて採用したのは2009年です。木材・アウター・インナーをカーボン全体で比べた解説は卓球ラケットのカーボンとは|木材との違いとアウター・インナーの選び方にまとめています。アウター配置のビスカリアは、公式が「世界中の多くのトップ選手が使用する名品」と紹介するラケットで、ビスカリアの公式仕様で、素材の構成や反発特性を確認できます。

2組の同価格ペアで見る数値の差

バタフライには、レイヤーと同じ価格・同じグリップの設定(FL・ST・AN)を持つアウター配置のラケットが2本あります。2025年3月21日発売の「アウターフォース」で、公式は2本とも「アウターファイバー仕様のラケットの中でも、弾みを抑えめに設計」した「中級者向けのラケット」と説明しています。

項目 レイヤー ALC アウターフォース ALC レイヤー ZLC アウターフォース ZLC
配置 インナー アウター インナー アウター
価格(税込) 16,500円 16,500円 23,650円 23,650円
板厚 6.0mm 6.2mm 5.7mm 5.9mm
平均重量 91g 85g 92g 86g
反発特性 10.7 11.4 10.5 11.3
振動特性 9.4 10.4 9.5 11.1

2026年10月23日にバタフライ公式の製品ページで確認。

ALCとZLCのどちらを比べた場合も、アウターフォースのほうが反発特性は0.7〜0.8大きく、振動特性も大きい値です。板はアウターフォースのほうが0.2mm厚い一方、平均重量はどちらの組も6g軽くなっています。

同じ価格のインナーとアウターを2組並べた図。16,500円のレイヤー ALCとアウターフォース ALCは、板厚6.0mmと6.2mm、平均重量91gと85g、反発特性10.7と11.4、振動特性9.4と10.4。23,650円のレイヤー ZLCとアウターフォース ZLCは、5.7mmと5.9mm、92gと86g、10.5と11.3、9.5と11.1。各製品の画像つき
同じ予算でアウターも候補に入れるなら、反発特性と平均重量の2つを並べて選んでみましょう。

弾みを抑えめにしたアウターでも、反発特性はレイヤーより大きいことになります。木材から特殊素材へ移るときに弾みが増えすぎるのを避けたい人は、同じ価格でもレイヤーのほうが反発特性の小さい表記であることを押さえておいてください。

ただし、この差を「配置の違いだけで生まれた差」とは言えません。板厚が違い、木材の構成が同じかどうかも公式には書かれていないためです。配置・板厚・木材を合わせた、製品どうしの差として読んでください。

振動特性の数値と「つかむ感覚」は別の物差し

振動特性について、公式のラケットの特性比較は「一般的に値が大きいほど手に響きにくいです」と説明しています。この定義どおりに読むと、上の表ではレイヤー側のほうが振動特性が小さく、手に響きやすい側に入ります。

インナーは「ボールをつかむ感覚」が特徴というメーカーの説明と、振動特性の数値がどう関係するのかを、公式は説明していません。片方だけで打球感を想像せず、両方を並べて候補を絞ってください。

数値の差がどれくらいの体感になるかは書かれていない

反発特性の0.7の差が、打ったときにどれほどの違いになるかは、公式の資料に説明がありません。数値は候補の順番をつけるために使い、最後は実際に打って、狙った長さに返せるかを比べてください。

系列で弾みが大きいのは、SUPER素材か厚いブレード

系列の中で反発特性が11を超えるのは3本です。素材を「SUPER」に替えた2本と、素材は同じまま板を厚くした1本です。素材を替える方法と板を厚くする方法の2通りがあり、張本智和 SUPER ZLCは素材に加えて板も厚くなっています。3本の板厚・平均重量・価格は、次の章の表に並べています。

スーパー アリレート カーボンとスーパーZLカーボン

公式の特殊素材の性能によると、スーパー アリレート カーボンは、従来のアリレート カーボンより多くの繊維を編み込んで弾みを高めつつ、素材の比率を調整して「アリレート カーボンの特徴であるしなやかさを維持」した素材です。スーパーZLカーボンは「ZLカーボンを上回る弾みを持つ特殊素材」と説明されています。

同じ158×152mmのブレードどうしで比べると、次のようになります。ただし、張本智和 ZLC(5.7mm)とSUPER ZLC(6.2mm)、張本智和 ALC(6.0mm)とSUPER ALC(5.9mm)は板厚も違うため、素材と板厚がともに違う製品どうしの差として読んでください。

  • 張本智和 ALC(10.7)→ 張本智和 SUPER ALC(11.4):反発特性が0.7大きい
  • 張本智和 ZLC(10.5)→ 張本智和 SUPER ZLC(12.0):反発特性が1.5大きい

張本智和 SUPER ZLCは、公式が「インナーファイバー®仕様のラケットの中で最も高い反発弾性を持つモデル」と書く1本で、価格も系列で最も高い41,800円です。張本智和 SUPER ALCの反発特性11.4は、先に比べたアウターフォース ALCと同じ値です。インナー配置のまま、反発特性の数値の上では、弾みを抑えめにしたアウターと同じところまで上がっています。

オフチャロフ ALCは素材を変えずに板を厚くした

オフチャロフ ALCの素材は、レイヤー ALCと同じアリレート カーボンです。公式は「『インナーフォース レイヤー ALC』よりもブレードが厚く、わずかに大きく設計されている」と説明し、「インナーファイバー®仕様のラケットの中でも反発特性が高く」と続けています。

板厚はレイヤー ALCより0.2mm厚い6.2mmで、反発特性11.7はSUPER素材の張本智和 SUPER ALC(11.4)を上回ります。弾みの大きさは素材だけで決まるわけではなく、板の厚さや設計も関わっていることが、この1本から読み取れます。

選手名入りモデルはレイヤーと何が違う?

選手の名前が入った7本(うちアポロニア ZLCは名前に「インナーフォース」が付かない)を、公式の数値で並べました。選手本人がどの用具を使っているかではなく、製品としてレイヤーとどこが違うかを見るための表です。

製品 もとになる素材 ブレード 板厚 平均重量 反発 振動 価格(税込) グリップ
張本智和 ALC ALC 158×152 6.0mm 88g 10.7 9.2 19,800円 FL・ST
張本智和 SUPER ALC SUPER ALC 158×152 5.9mm 87g 11.4 9.5 25,300円 FL・ST
張本智和 ZLC ZLC 158×152 5.7mm 87g 10.5 9.3 27,500円 FL・ST
張本智和 SUPER ZLC SUPER ZLC 158×152 6.2mm 86g 12.0 10.5 41,800円 FL・ST
オフチャロフ ALC ALC 158×152 6.2mm 89g 11.7 10.5 19,800円 FL・ST
フランチスカ ZLC ZLC 157×150 5.7mm 84g 10.5 9.5 27,500円 FLのみ
アポロニア ZLC ZLC 157×150 5.7mm 90g 10.5 9.5 27,500円 FLのみ

製品名の「インナーフォース」は省略。ブレードの単位はmm。2026年10月23日にバタフライ公式の製品ページで確認。

大きさ・グリップ・価格も比べる

素材や反発特性に加え、次の3点もレイヤーと比べてみましょう。

  1. ブレードの大きさ:張本智和選手の4本とオフチャロフ ALCは158×152mmで、レイヤーより縦1mm・横2mm大きい。フランチスカ ZLCとアポロニア ZLCはレイヤーと同じ157×150mm
  2. グリップ:7本ともANの設定がなく、フランチスカ ZLCとアポロニア ZLCはFLだけ
  3. 価格:張本智和 ALCはレイヤー ALCより3,300円高く、張本智和 ZLCはレイヤー ZLCより3,850円高い

張本智和 ALCについて、公式は「『インナーフォース レイヤー ALC』をベースにし、ブレードサイズをわずかに大きく設計しました」と説明しています。板厚と反発特性はレイヤー ALCと同じ表記で、平均重量は3g軽い88gです。ブレードが大きいほうが重くなりそうに思えますが、公式の平均値では逆になっています。

フランチスカ ZLCとアポロニア ZLCは、板厚・反発特性・振動特性がレイヤー ZLCと同じ表記です。公式の製品ページで比べられる違いは、平均重量(84g・90g・92g)、グリップの種類、価格の3つに限られます。中でもフランチスカ ZLCの84gは、系列10本で最も軽い値です。

選手本人の用具は別の記事で

公式選手ページでは、張本智和選手(2025年10月11日現在)と張本美和選手(2025年12月18日現在)のラケット欄に「張本智和 インナーフォース SUPER ALC」と書かれています。2人が組み合わせているラバーや、ほかの選手の用具は、張本智和・早田ひなのラケットとラバーは?選手の使用用具を公式情報で確認に、公式の掲載日とあわせてまとめています。

中学生・中級者がインナーフォースに替える前に

メーカー自身は、初級者のうちから特殊素材を使うことを勧めていません。その説明と、替える前に数値で見ておきたい点を順に取り上げます。

メーカーは初級者に特殊素材を勧めていない

バタフライの初級者向けのおすすめ組み合わせは、最初から特殊素材のラケットや「テナジー」シリーズなど反発力の強い用具を使うことに注意を促しています。理由は「用具の力に頼った打球をしてしまうため、自分の力をボールに伝える打ち方が身につかなくなってしまいます」というものです。そのうえで、次のように続けています。

初級者にとって大切なのは、しっかりとしたフォームを身につけること。

出典:バタフライ公式 初級者向けのおすすめ組み合わせ(シェーク)

同じページでは、適度な弾みがあって使いやすく、しっかりスイングできる軽量の用具が勧められています。ラケットの構成を説明するページにも「初めてラケットを選ぶなら、合板で構成されたラケットがお勧めです」とあります。

メーカーの説明は初級者が対象で、替える時期の目安は書かれていません。そのため、この記事では、学年や年齢ではなく、木材のラケットで打ち方が安定しているかを目安にしています。

先輩と同じラケットにする前に

部活の先輩が使っているから、という理由だけで決めないでください。ドライブやツッツキが今のラケットで続けて台に入るかを、部活の顧問や卓球教室のコーチに見てもらいましょう。そのうえで、替える時期を相談してください。

体育館の卓球台のそばで、ラケットを見せながらコーチに相談する若い男性と、手振りを交えて答えるコーチ
替える時期を決める前に、今のラケットでの打球をコーチや顧問に見てもらい、相談してみましょう。

今のラケットとの反発の差を出す

買い替える前に、今のラケットと候補の反発特性を比べておきましょう。バタフライの木材合板と並べると、次のようになります。

製品 構成 平均重量 反発特性 価格(税込)
メイス アドバンス 木材5枚 78g 10.6 6,270円
コルベル 木材5枚 95g 10.6 6,050円
SK7クラシック 木材7枚 87g 11.1 7,480円
レイヤー ALC.S 木材5枚+ALC2枚 88g 10.1 16,500円
レイヤー ZLC 木材5枚+ZLC2枚 92g 10.5 23,650円
レイヤー ALC 木材5枚+ALC2枚 91g 10.7 16,500円

2026年10月23日にバタフライ公式の製品ページで確認。

公式の数値で見るかぎり、レイヤー3本の反発特性は木材5枚合板と近く、木材7枚合板のSK7クラシック(11.1)のほうがレイヤー ALC(10.7)より大きい表記です。「特殊素材が入ると必ず大きく弾む」とは限らないことが分かります。

反発特性はバタフライが自社の製品を測った値なので、他のメーカーのラケットの数値とは並べられません。バタフライ以外のラケットを使っている場合は、今のラケットが木材5枚か7枚か、特殊素材が入っているかを公式仕様で見て、上の表の近い構成と比べてください。木材合板の候補は、SK7クラシックの公式仕様とコルベルの公式仕様でも確認できます。平均重量と板の構成を並べて比較してください。

重さは84〜92gの幅で見る

系列10本の平均重量は、最も軽いフランチスカ ZLCの84gから、最も重いレイヤー ZLCの92gまでです。レイヤー ALCの91gは系列の中で重いほうにあたり、軽量のメイス アドバンス(78g)から替えると、本体だけで平均13g増える計算になります。

実際のプレーでは、本体にラバー2枚を貼り、接着剤も加わったラケットを振ります。本体の平均重量だけでなく、使う状態に仕上げたときの重さも考えてください。張本智和選手のモデルなど158×152mmのブレードは、レイヤーより面が少し大きいため、同じラバーを貼ってもラバーの残る面積がわずかに増えます。完成重量の考え方は卓球ラケットの重さの選び方にまとめています。

ラバー2枚を足した予算

保護者と予算を相談するときは、ラケットに両面のラバーを合わせた金額を出しておきましょう。メーカー希望小売価格が出ているロゼナ(1枚5,500円)を両面に貼る場合で計算しました。

ラケット 計算 合計(税込)
レイヤー ALC/ALC.S 16,500円+5,500円×2 27,500円
張本智和 ALC 19,800円+5,500円×2 30,800円
レイヤー ZLC 23,650円+5,500円×2 34,650円

価格は2026年10月23日にバタフライ公式の製品ページで確認したメーカー希望小売価格。貼り付けの加工料と送料は別にかかります。テナジー05・ディグニクス05・ザイア03はオープン価格のため計算していません。

3本からの選び分け

本体を軽くしたいのか、素材を替えたいのか、弾みを足したいのか。今のラケットから変えたい点を、次の表に当てはめてみましょう。

優先したいこと 候補 根拠(公式の数値・説明)
公式が「弾みとコントロールのバランスの良さ」と説明する1本を選びたい レイヤー ALC 製品ページの説明文。反発特性10.7・91g、FL・ST・ANから選べる
本体を軽くしたい、台の近くで回転量の多い打球を使いたい レイヤー ALC.S 88g・反発特性10.1、前陣カウンタードライブ向け(公式の説明)
アリレート カーボンとは違う素材を使ってみたい レイヤー ZLC ZLカーボン、反発特性10.5・92g
レイヤー ALCより弾みを足したい オフチャロフ ALC、張本智和 SUPER ALC・SUPER ZLC 反発特性11.4〜12.0(レイヤー ALCは10.7)

迷ったときは、価格が同じALCとALC.Sの2本から比べてみましょう。どちらもZLCより7,150円低い価格です。

ベンチに座り、両手に1本ずつ持ったシェークハンドのラケットを見比べる若い男性
候補を2本に絞ったら、反発特性と平均重量を見比べて、今のラケットとの差が大きすぎないかを考えてみましょう。

インナーフォースに合うラバーの考え方

ラバーは、ラケットの弾みと、自分が扱える硬さ・重さの両方から決めます。参考になるのは、公式選手ページに載っている選手の組み合わせです。

公式選手ページに載る組み合わせ(掲載日つき)

次の表は、公式選手ページのラケット欄にレイヤーの製品名が載っている4人と、そのページに記載されたラバーの組み合わせです。各ページには用具情報の掲載日も示されています。掲載日が2021〜2025年と幅があるので、いつの情報かを日付で確認してください。

選手 ラケット ラバー欄の記載(ページの記載順) 掲載日
リュウ・ジャ選手(AUT) レイヤー ALC テナジー05/テナジー05 2021年7月9日現在
ポルカノバ選手(AUT) レイヤー ZLC ディグニクス05/ディグニクス05 2025年2月14日現在
チターレ選手(IND) レイヤー ZLC ディグニクス05/テナジー05 2023年7月20日現在
Ni. アラミアン選手(IRI) レイヤー ZLC ディグニクス09C/テナジー05 2021年7月9日現在

選手ページには、どちらのラバーをフォアに、どちらをバックに貼っているかは書かれていません。表のラバーは記載の順に並べただけです。

4人のラバー欄に出てくるのは、テナジー05・ディグニクス05・ディグニクス09Cの3種類です。両面とも同じラバーの選手が2人、片面ずつ違うラバーの選手が2人で、組み合わせ方は1通りではありません。

選手名入りモデルでは、張本智和選手がザイア03を両面に、張本美和選手がディグニクス09Cとディグニクス05を組み合わせていると、公式選手ページに書かれています(掲載日は前の章のとおり)。

硬さと厚さを今のラバーと比べる

選手の組み合わせに出てくるラバーと、比べやすい柔らかめのラバーを、バタフライの公式指標で並べました。

ラバー スポンジ硬度 選べる厚さ 価格(税込)
ロゼナ 35 2.1・1.9・1.7mm 5,500円
テナジー05 36 2.1・1.9・1.7mm オープン価格
ディグニクス05 40 2.1・1.9mm オープン価格
ザイア03 44 2.7・2.5mm オープン価格

2026年10月23日にバタフライ公式の製品ページで確認。

スポンジ硬度は、数字が大きいほど硬い表記です。ロゼナとテナジー05は30台で、1.7mmの薄いスポンジも選べます。ディグニクス05は40、ザイア03は44と硬く、ザイア03は2.7mmと2.5mmの厚いスポンジしか選べません。

木材合板からレイヤーに替える場合は、今のラバーを変えずに試すと、球の飛び方が変わったときに、ラケットとラバーのどちらの影響かを見分けやすくなります。ロゼナの厚さの選び方はロゼナの選び方に、テナジーの種類ごとの違いはテナジーの違いを全10種類で比較にまとめています。

初級者のうちは、特殊素材のラケットとテナジーを一度にそろえない

前の章で引いたメーカーの初級者向けの説明では、特殊素材のラケットと並んで「テナジー」シリーズが反発力の強い用具の例に挙がっています。木材から移る段階でラケットとラバーの両方をこうした用具にすると、メーカーが初級者に勧めていない用具を2つ同時に使うことになります。

中学生のラバー選びの候補と両面の予算は中学生の卓球ラバー選びに、フォアとバックの役割から決める方法は卓球ラバーの組み合わせ診断にまとめています。

中国式ペン(CS)のインナーフォース

中国式ペンホルダー用には、品番の違う「- CS」の製品が7本あります。ブレードはすべて161×150mmの丸型、グリップは82×24×32mmです。張本智和 SUPER ALC - CSを除く6本は、製品ページに「裏面コルクなし、白木」と注記があります。

製品 板厚 平均重量 反発 振動 価格(税込)
レイヤー ALC - CS 6.0mm 91g 10.7 9.4 16,500円
レイヤー ALC.S - CS 5.5mm 86g 10.1 8.4 16,500円
レイヤー ZLC - CS 5.7mm 88g 10.5 9.5 23,650円
張本智和 ALC - CS 6.0mm 88g 10.7 9.4 19,800円
張本智和 SUPER ALC - CS 5.9mm 85g 11.4 9.7 25,300円
張本智和 ZLC - CS 5.7mm 87g 10.5 9.5 27,500円
張本智和 SUPER ZLC - CS 6.2mm 87g 12.0 10.7 41,800円

製品名の「インナーフォース」は省略。2026年10月23日にバタフライ公式の製品ページで確認。

価格と反発特性はシェークと同じですが、平均重量や振動特性がシェークと違う製品がある点に注意してください。たとえばレイヤー ZLC - CSの平均重量は88gで、シェークの92gより4g軽い表記です。張本智和 ALC - CSの振動特性は9.4で、シェークの9.2と異なります。中国式ペンで選ぶときは、シェークの数値を当てはめず、CSの製品ページの数値で比べてください。

まとめ:レイヤー3本の違いと、替える前に見る数値

  • レイヤー ALCは系列の基準。木材5枚+アリレート カーボン2枚、6.0mm・91g・反発特性10.7、16,500円
  • レイヤー ALC.Sは0.5mm薄く3g軽い。反発特性10.1で、公式は前陣カウンタードライブを使う選手に勧めている
  • レイヤー ZLCは素材違い。価格は23,650円と高いが、反発特性は10.5、重さは92gで、ALCの上位版ではない
  • 同じ価格のアウターフォースと比べると、レイヤーは反発特性が小さく、平均重量は6g重い
  • 弾みを足したいなら、SUPER素材の張本智和モデルか、板の厚いオフチャロフ ALCが数値上の候補になる

木材合板から替える場合は、今のラケットの反発特性と平均重量を製品ページで調べ、レイヤー3本の数値と並べてから決めてください。バタフライ全体のラケットから候補を広げたいときは、バタフライの卓球ラケットおすすめ11選が参考になります。

よくある質問

インナーフォース レイヤー ALCは廃番になっていませんか?

2026年10月23日時点で、公式の製品ページ、インナーファイバーのラケット一覧、2026年版カタログのいずれにも載っている現行品です。発売は2015年4月21日で、メーカー希望小売価格は16,500円(税込)です。価格や仕様は変わることがあると公式が注記しています。

攻撃用の「インナーフォース レイヤー ZLF」はもう買えませんか?

2026年10月23日時点で、攻撃用のZLFは国内の公式サイトに製品ページがなく、インナーファイバーの一覧にも載っていません。ただ、販売終了の告知は確認できていません。一覧に載っているZLFは、カット用の「インナーシールド レイヤー ZLF」です。

ZLCに替えると、ALCよりよく弾みますか?

公式の数値では、レイヤー ZLCの反発特性は10.5で、レイヤー ALCの10.7より小さい表記です。平均重量はZLCのほうが1g重い92gです。弾みを足したい場合は、反発特性が11を超える張本智和 SUPER ALCやオフチャロフ ALCの数値と比べてください。

張本智和 インナーフォース ALCとレイヤー ALCは、どう選べばいいですか?

公式は張本智和 ALCを、レイヤー ALCをもとにブレードをわずかに大きくしたモデルと説明しています。反発特性は同じ10.7で、平均重量は張本智和 ALCのほうが3g軽く、価格は3,300円高くなります。ANグリップを使いたいならレイヤー ALCだけが対象です。

ALC.Sは初心者向けの軽いモデルですか?

公式の説明は初心者向けとは書いておらず、回転量の多い前陣カウンタードライブを使う選手に勧めています。軽さはALCより3g軽い88gです。メーカーは初級者に、特殊素材から始めず軽量の用具を使うよう勧めているため、始めたばかりの人は木材合板から選ぶのが公式の考え方に沿います。

インナーフォースの中で、いちばん弾むのはどれですか?

公式の反発特性で最も大きいのは張本智和 インナーフォース SUPER ZLCの12.0で、公式も「インナーファイバー®仕様のラケットの中で最も高い反発弾性を持つモデル」と説明しています。次がオフチャロフ ALCの11.7です。最も小さいのはレイヤー ALC.Sの10.1で、系列の中でも反発特性に1.9の差があります。

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y0n0zawa

ライター

y0n0zawa

気づけばデスクワーク歴20年。パソコンの前に座りすぎて、腰は悲鳴をあげ、ついにはヘルニア持ちに。そんなある日、鏡に映った自分の体型に衝撃を受け、「これはまずい」と一念発起。ダイエットと運動不足解消のために20年ぶりに卓球ラケットを握ったら、昔の血が騒ぎ出した。 最初はフォアすら入らず途方に暮れたが、徐々に感覚を取り戻し、今では“ヘルニア持ち卓球戦士”として奮闘中。腰をかばいつつもスマッシュは全力、練習後は湿布と仲良し。学生時代とは違う、大人ならではの視点で卓球を楽しみ直しながら、同じように再チャレンジする人に役立つ情報を発信している。