GEWOのラバーとラケット|アルナ選手との共同開発とドイツの用具づくり

GEWO ドイツの用具づくり ラバーとラケット
目次

この記事の要約

強烈なフォアハンドを打つアルナ選手。その選手と一緒にラケットを開発しているのが、ドイツの卓球用具ブランド、GEWOです。選手の豪快な攻撃に惹かれて製品を調べると、速さだけでなく、打球感や守るときの扱いやすさまで考えた説明に出合います。全9回の「知られざる海外卓球メーカー図鑑」、第3回は、GEWOの歴史と選手との開発、数あるラバーの違いをたどります。

この記事でわかること

木目の見えるラケットを手に取り、ブレードを眺める男性
ラケットは素材の名前だけでなく、外側の板と芯材の組み合わせにも注目してみましょう。

アルナ選手のフォアから知るGEWOの用具づくり

得意なフォアと、共同開発のラケット

GEWOの公式プロフィールは、クアドリ・アルナ選手を右利きの攻撃型とし、得意技にフォアトップスピンを挙げています。トップスピンは、球に前進回転をかける打球です。フォアのドライブを武器にしたい人には、どんな用具を選んでいるのか気になる選手です。

公式が掲載するラケットはAruna Hinoki Carbon OFF、ラバーはNexxus EL Pro53 SuperSelectです。長い製品名ですが、後ほどラバーのシリーズと版を分けて読むと、それぞれが何を目指すのか整理できます。

選手の名前が付いているだけでなく、共同開発の経緯が説明されていることにも注目です。 ラケットの公式説明によると、アルナ選手は2019年夏からGEWO製品を使っています。シリーズの開発には、本人と木材の専門家が関わりました。

ヒノキ、カーボン、柔らかい芯材の組み合わせ

このラケットは、外側の板にヒノキを用い、カーボンと柔らかい芯材を組み合わせた設計です。公式説明は、攻撃の威力だけでなく打球感や、相手の球を受けるプレーにも触れています。

カーボン入りと聞くと、「とにかく速く飛ぶラケットかな」と想像しがちです。でも、ラケットは同じ素材名があれば同じ感触になるものではありません。外側の木材や芯材も含めて説明を読むと、強く打つことと、球を扱うことの両方を考えた製品だと分かります。

選手モデルを見る楽しさは、名前をそろえることだけでなく、何を両立させようとした設計かを知ることにもあります。 これはメーカーが説明する開発意図であり、試打して性能差を測った結果ではありません。

強いフォアに憧れたら、先に考えたいこと

相手を押し込むドライブは魅力的です。一方で、強く打とうとするとミスが増え、結局は返すだけになってしまうこともあります。用具に求めることは「もっと速い球」だけではないはずです。

  • 下回転の球を持ち上げ、先にドライブを打ちたい。
  • 相手の速い球にも振り遅れず、バックで返したい。
  • 強打の威力を残しながら、短いレシーブも収めたい。

こうして場面を分けると、フォアを強くしたい気持ちと、バックで安定させたい気持ちを両方持って選べます。アルナ選手の公式掲載用具は、その設計を知る入口です。現在の試合で使う両面の組み合わせや、選手個体の細かな調整まで示す情報とは分けて読みましょう。

体育館でバッグからラケットケースを取り出し、練習を準備する男性
次の練習では、ドライブに加えて短いレシーブやブロックの感触も確かめてみましょう。

GEWOはどこのメーカー?卓球台から広がったドイツのブランド

GEWOはラバーに加え、ラケット、卓球台、ウェアなども扱うブランドです。その歴史は、馬具の仕事から始まります。 公式沿革を読むと、現在の総合的な品ぞろえに至るまでの変化が見えてきます。

年 公式沿革にある出来事
1898年 Peter WolfがドイツのGelnhausenで馬具事業を開始
1956年 卓球台の製造を開始
1991年 Frank KoschnickとWolfgang Sohnsが引き継ぎ、総合的な卓球用具へ展開

馬具を作っていた会社が卓球台を手がけ、その後は選手の手に握られる用具へも広がっていく。現在の商品一覧だけでは分からない、少し意外な歩みです。

メーカーごとに歴史の始まりも違います

GEWOでは馬具業、卓球台、総合用具への展開が別々の時期にあります。創業年を見るときは、その年に何を始めたのかも一緒に読むと、メーカーの歩みを取り違えずに理解できます。

同じ連載の銀河のラバーと開発背景、紅双喜の歴史と選手が選ぶ理由と比べると、メーカーの個性はラバーの硬さや価格だけでは語れないことが分かります。

パバド選手とミッテルハム選手にも広がる開発への参加

パバド選手は、契約発表でフォアとバックに別のラバー

GEWOの2025年8月1日の発表は、プリティカ・パバド選手との長期スポンサー契約と、専用ラケットの開発を伝えています。同じページに複数の契約記事があり、パバド選手の発表では面ごとのラバーも確認できます。

面 2025年8月1日の契約発表にあるラバー
フォア Nexxus EL Pro53 SuperSelect
バック Inventus XT Pro47.5

同じ選手でも、フォアとバックで同じラバーにそろえているわけではありません。 フォアの大きなスイングと、バックで素早く返す動作では、気になる感触が違っても不思議ではありません。自分の両面を考えるときにも、この使い分けは興味深い例です。

この組み合わせは、契約発表当時のセットとして公表されたものです。

ミッテルハム選手は2026年から用具開発にも参加

同じ公式ページの2026年1月9日の発表では、ニーナ・ミッテルハム選手が契約選手となり、製品や用具の開発にも参加すると説明されています。選手との関係が、完成した用具を渡すところで終わらないことがうかがえます。

ミッテルハム選手のドイツ語公式プロフィールでは、Matrixx ARC OFFとCodexx Pro55 SuperSelectを掲載しています。後述するCodexxの微粘着系も含め、GEWOの選手用具は1つのシリーズだけではありません。

アルナ選手とのラケット開発、パバド選手の面別セット、ミッテルハム選手の開発参加。それぞれの発表を並べると、GEWOを知る手掛かりは「誰が契約しているか」だけでなく、「選手と何を作っているか」にもあると気付きます。作り手がどんな課題に向き合うのかを知ると、製品の説明も深く読めます。

机に並べた赤と黒のラバーを見比べる男性
フォアとバックで打ちたい球を思い浮かべながら、それぞれのラバーの設計を比べてみましょう。

GEWOのラバーは、シリーズが目指すプレーから選ぶ

Nexxus、Inventus、Codexx。商品名を並べるだけでは、どれから見ればよいか迷います。まずは扱いやすさ、攻撃時の加速、微粘着の表面という設計の違いから整理してみましょう。 以下は2026年10月19日に確認した公式の掲載内容です。

NeoflexxとElaxxonは、扱いやすさを残したいときに

Neoflexx eFT40の公式説明は、制御や扱いやすさを重視しています。コーチ陣との製品会議やテストにも触れており、強い球を打てる選手だけを想定したシリーズではありません。

同じNeoflexxでも、40はeSpin、45と48はeSpeedという設計の説明があります。数字だけを替えた同一品と考えず、求めるプレーまで読んで比べたいところです。

Elaxxon eFT45.0は、Neoflexxを踏まえ、扱いやすさを保ちながら弾みと回転を高める狙いの製品です。ブロックは今のように返したいけれど、自分から打つドライブにはもう少し勢いが欲しい。そんな希望と照らし合わせて、設計を読むことができます。

NexxusとInventusは、攻撃のどこを変えたいかで読む

アルナ選手の公式掲載用具でもあるNexxus EL Pro53 SuperSelectは、硬いスポンジと、回転を重視するELの設計を組み合わせた製品です。強く振ったときの攻撃に興味があるなら、硬いスポンジを自分のスイングでどう使うかが気になります。

一方、Inventus XT Pro47.5は、回転や打球感と加速の両立を狙っています。メーカーはXTについて、ELよりもシートの内側の粒が細く、間隔が広いと説明しています。

ここでいう粒は、表ソフトのように打球面へ露出するものではなく、裏ソフトのシートの裏側にある構造です。表面が平らに見えるラバーでも、内部の形まで同じではありません。シリーズ名の違いが、単なる見た目の違いではないことが分かります。

最初のドライブで回転をかけて攻めたいのか、その後も素早く振り続けたいのか。自分の課題を思い浮かべると、メーカーの説明も具体的な問いとして読めます。

CodexxとIconixxには微粘着の設計も

Codexx Pro53 SuperSelectは、微粘着の上部ゴムと硬いスポンジを組み合わせ、台に近い位置から中陣での攻撃を想定しています。微粘着は、表面に軽い粘着性を持たせた設計を指します。

Iconixx Hybrid HXT Pro48.0も、微粘着の表面を採用する現行シリーズの一例です。公式はHXT Tackという表面、PCCスポンジ、FlexTech3.0という技術を説明しています。名称を覚えるより、表面とスポンジを組み合わせ、回転と弾みをどう両立しようとしているかに注目すると読みやすくなります。

GEWOには、扱いやすさを重視する製品も、硬さや微粘着を生かそうとする製品もあります。 「GEWOのラバーは全部こういう感触」とまとめず、シリーズごとに見る意味があるメーカーです。

最初に見ておきたい6つの代表例

公式の設計説明を、読むときの問いと一緒に並べました。自分が変えたいプレーから候補を探してみてください。

代表モデル 設計説明の重点 自分のプレーで考えたいこと
Neoflexx eFT40 制御と扱いやすさ ブロックやツッツキを台に収めたいか
Elaxxon eFT45.0 扱いやすさと弾み・回転 安定を残しながら攻撃の強さも足したいか
Nexxus EL Pro53 SuperSelect 硬いスポンジと回転 下回転へのドライブを、しっかり振って打ちたいか
Inventus XT Pro47.5 回転・打球感と加速 最初のドライブと連続攻撃のどちらを変えたいか
Codexx Pro53 SuperSelect 微粘着と硬いスポンジ 長いツッツキを、台に近い位置から攻めたいか
Iconixx Hybrid HXT Pro48.0 微粘着の表面とスポンジの組み合わせ 回転をかける感触と弾みをどう両立したいか

公式のシリーズ比較には、ほかにHype、Proton Neo、Targetなどもあります。この6例で全製品を網羅しているわけではありません。最初から名前を全部覚えようとせず、気になる設計のシリーズから調べる方が、違いをつかみやすくなります。

製品名の40、47.5、53などは、それぞれの硬度仕様を読む手掛かりです。ただし、他社の同じ数字が同じ感触を表すとは限りません。ラバー硬度の基準と選び方も参考に、硬度、厚さ、表面の性質を分けて見ましょう。

公式の速度や回転、制御の点数は、他社と共通条件で測った値ではありません。点数だけで比べるより、どんなプレーを目指す設計かを読む方が、自分に合う候補を見つけやすくなります。

ソファに座り、ラバーを貼ったラケットを手に持って考える男性
今の用具で気に入っているところと、変えたいプレーを一つずつ挙げてみましょう。

ラケットと両面のラバーを、自分のプレーにつなげる

GEWOの公式ラケット一覧には、Aruna Carbon Basic、Xolo ALLround、Celexxisなども掲載されています。ラケットとラバーの組み合わせから用具を考えられる総合メーカーです。

気になる用具を見つけたら、「変えたいプレー」と「今のまま残したいプレー」を一つずつ挙げてみてください。 ドライブが速くなっても、得意だった短いレシーブが収まらなくなると、素直には喜べません。

  1. 今のラケット名、ラバーの正式名と厚さを確認します。
  2. フォアとバックで、改善したいプレーを分けて書きます。
  3. 比較する製品の設計説明と、自分の希望が重なる部分を探します。
  4. 試せる機会には、ドライブだけでなくサービス、短いレシーブ、ブロックも確かめます。

憧れの選手の用具を知ることと、両面を同じ製品にすることは別です。 パバド選手の契約発表にあった面ごとの使い分けも、そのことを考えるきっかけになります。

GEWOの面白さは、強い選手との共同開発と、扱いやすさを重視する製品が同じブランドにあることです。今できているプレーを大切にしながら、次に打ちたい球を考える。そこから製品名を読み直すと、長く見えた名前の違いにも、選ぶ理由が見つかります。

よくある質問

GEWOはラバーだけのメーカーですか?

ラバーに加え、ラケット、卓球台、ウェアなども扱っています。 公式沿革では1956年に卓球台の製造を開始し、1991年の引継ぎ後に総合的な卓球用具へ展開したと説明されています。

アルナ選手と同じラバーを両面に貼ればよいですか?

公式プロフィールの掲載だけでは、現在の試合で使う両面の組み合わせまでは分かりません。フォアとバックで動作や改善したいことを分けて考え、選手名だけで硬いラバーを両面にそろえる必要はありません。

Neoflexx eFT40と45は、硬さだけの違いですか?

公式説明は40をeSpin、45と48をeSpeedとしています。同じシリーズでも設計の重点が異なるため、硬度の数値だけでなく、回転や弾みをどう説明しているかも確認してください。

ドイツのブランドなら、すべてドイツ製ですか?

ブランドの拠点と個々の製品の製造国は別です。GEWOの全製品が同じ国で製造されているとは確認できないため、必要な場合は対象製品の表示で確かめてください。

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シリーズ:知られざる海外卓球メーカー図鑑(全9回)
  1. 第1回 銀河(YINHE)のラバーを知る|太陽の通常版・特注版と陳Proの開発背景
  2. 第2回 紅双喜(DHS)はどんな卓球メーカー?キョウヒョウの歴史と選手が選ぶ理由
  3. 第3回 GEWOのラバーとラケット|アルナ選手との共同開発とドイツの用具づくり(このページ)
  4. 第4回 LOKI(ロキ)の卓球用具|王皓選手の開発協力とRXTONだけではない魅力