SUMMARY
この記事の要約
卓球の審判は、試合前の確認を済ませ、ラリーの判定、得点のコール、得点板の更新を順に進めます。初めて担当するときは、最初のサーバーを記録し、交代のタイミングを得点と合わせて確認すると迷いを減らせます。順番や表示を間違えても、気づいた時点で止めて正しく直す手順があります。シングルスの1人審判を基本に、準備から結果報告までを確認しましょう。説明は2026年10月時点の日本卓球協会の案内とITTF規程に基づきます。
この記事でわかること
卓球の審判は判定・コール・得点表示を順に進める
1人で審判するときの仕事
主審は、用具や競技条件を確認し、サーブの順序を管理して、得点かレットかを判定します。レットは、得点を加えずにラリーをやり直す扱いです。1人で担当するときは、エッジやサービスを含む事実の判定と、練習や休憩の時間管理も受け持ちます。
ラリーが終わるたびに、判定する、得点を伝える、表示を変えるという順序を守りましょう。ボールが動いている間は、台と選手へ視線を向けます。
主審と副審がいる場合の分担
主審はネットの延長線上、副審は台を挟んだ反対側に位置します。副審側のサイドのエッジ判定は、副審の担当です。サービスの違反やネットへの接触などは、主審と副審のどちらも判定できます。
副審の担当範囲で出された判定を、主審が自由に取り消せるわけではありません。サービス判定でも、主審だけが上位の権限を持つという理解は誤りです。得点板と時間管理を誰が受け持つかは、開始前に確認してください。
試合前に審判がすること
- 台とネットに気になる状態がないか確認します。
- 得点板の操作方法と、左右の表示がどの選手に対応するか確認します。
- 記録用紙、筆記具、時間を計る道具を準備します。
- 選手名と試合の形式、結果の提出先を確認します。
- 最初のサーバーと、選んだエンドを記録します。
試合前に得点板の向きと操作を確認する場面のイメージです。ラケットを見せてもらい、練習時間を確認する
試合開始前には、選手が相手と主審にラケットを見せて確認してもらいます。試合中にラケットを交換する場合も確認が必要です。
試合台での直前の練習は、規則では2分以内です。必ず2分間続けるという意味ではなく、延長には審判長の許可が必要です。練習終了は「タイム」と知らせます。副審がいる場合の終了の宣告など、分担も確認しておきましょう。
地域大会で練習本数が指定されている場合は、大会の指示に従います。「何本打ったら終わり」と全国共通の本数を決めつけないことが大切です。
サーブ・レシーブ・エンドを決める
最初にサーブするかレシーブするか、どちらのエンドで始めるかの選択権は、規則ではくじで決めます。選択権を得た側がサーブ・レシーブ・エンドのいずれかを選び、相手が残る選択をします。
サーブを選んだ場合は、相手がエンドを選びます。エンドを選んだ場合は、相手がサーブかレシーブかを選びます。ジャンケンやコイントスを使うかは大会の指示に従い、必ずジャンケンと決めつけないでください。
試合開始から得点までのコール
開始時はサーバーを示す
開始時は、最初にサーブする選手を手で示し、得点を伝えます。「ファーストゲーム、選手名、トゥサーブ、ラブオール」は、よく使われる言い方の例です。国内で日本語のコールを使う場合は、大会の指示に従ってください。
0の読み方は「ラブ」と「ゼロ」のどちらも使われます。同点は「オール」を使う言い方と、双方の数字を読む言い方があります。
得点は次にサーブする側から読む
ラリーが終わったら、次にサーブする側の得点を先に読みます。得点した側や、得点板の左側を常に先に読むわけではありません。サーバーが交代するときは、次のサーバーも手で示します。
同点なら「オール」を添える方法があります。レットのときは得点を増やさず、同じ得点を繰り返します。
英語の読み方を準備したい場合は、卓球の英語と審判のコールで確かめられます。
得点とレットの手の合図
得点の合図は、得点した側に近い腕を上げ、上腕を水平、前腕を垂直にして拳を上へ向けます。レットの合図では、手を頭上へ上げます。
エッジやサイドの手の合図は大会や地域で異なることがあるため、担当者から事前に説明を受けましょう。合図に迷った場合も、判定の内容は声で明確に伝えます。
ゲーム終了と試合終了を区別する
ゲームが終わったら、勝った選手と最終得点を伝えます。「ゲーム・トゥ・選手名」は、よく使われる言い方の例です。試合終了を知らせる「ゲームアンドマッチ・トゥ・選手名」も、よく使われる言い方の例として考えてください。
終了の宣告をしたら、最終得点とゲームカウントを記録用紙で確かめます。
得点板の操作手順
コールと合図を確認してから変える
得点板係が別にいる場合は、主審のコールや合図を待って表示を変えます。1人で兼ねる場合も、判定とコールを済ませてから、得点した選手の表示をめくってください。
左右の表示と選手の対応は、チェンジエンド後にも確認します。選手が移ったのに、移る前の側を見てめくると誤表示になります。
国際大会の審判向け手引きでは、開始前は空欄にし、開始コールに合わせて0対0を表示する手順が示されています。地域大会では得点板の形式が異なるため、操作方法は大会の指示を優先します。
最終得点は次のゲーム直前まで残す
同じ手引きでは、ゲーム終了後の最終得点を次のゲーム直前まで残します。選手や記録係が確認できるよう、終了直後にすべて戻さない手順です。
次のゲーム前に得点表示を戻し、その後でゲームカウントを更新します。最終得点とゲームカウントを同時に変えない点も確認してください。
サービスの交代とチェンジエンド
通常は2点ごと、10対10以降は1点ごとに交代する
サーブは、通常は2点ごとに交代します。「サーブが入った本数」ではなく、双方の得点の合計で確かめると整理できます。レットは得点が増えないため、交代のための本数にも加えません。
次の表は、確認済みの2点交代の規則を当てはめた計算例です。実際の選手名に置き換え、最初のサーバーを記録したうえで使います。
| 得点の合計 |
次にサーブする側 |
| 0・1 |
最初にサーブした側です |
| 2・3 |
最初にレシーブした側です |
| 4・5 |
最初にサーブした側です |
10対10以降は、1点ごとに交代します。通常の2点交代を続けないよう、同点になった時点で切り替えを確認してください。促進ルールが適用されている間も1点交代ですが、導入や進行で迷ったら審判長へ確認します。
たとえば最初のサーバーが2点を取った場合、表示は2対0ですが、次のサーバーは相手です。コールは相手側から0対2になります。このように、得点板の左右とコールの順序は別だと覚えると混乱を減らせます。
点数を見失わない工夫は、卓球の点数の覚え方も参考になります。
次のゲームは最初のサーバーが入れ替わる
前のゲームで最初にサーブした側は、次のゲームでは最初にレシーブします。前のゲームの最後に誰がサーブしていたかで決めるものではありません。
ゲームが終わったら、最終得点、ゲームカウント、次のゲームの最初のサーバーを確認します。ダブルスにはサーブ・レシーブの順序に別の規定があるため、このシングルスの説明だけで進めないでください。
エンド交代と休憩のタイミング
エンドはゲームごとに交代します。最終ゲームでは、どちらかが5点に達した時点でもチェンジエンドを行います。5対5になるまで待つわけではなく、先に5点へ達した側が出たら交代です。
エンドを替えたことだけを理由に、サーブ順を入れ替えないようにしましょう。
ゲーム間の休憩は1分以内です。タオルの使用は、各ゲーム開始から6本ごとと、最終ゲームのチェンジエンド時に認められます。
試合中に起こる場面への対応
ネット・エッジ・サイド・他の台からの球
ネットに触れたサービスは、それだけで常にやり直しになるわけではありません。サービスがそれ以外の点で正しいかを含めて扱います。エッジは台の上面の端、サイドは台の側面を区別して判定します。
他の台から球が入って競技を妨げる場合は、ラリーを止めて安全を確保します。紛れ込んだ球を拾いながら試合を続けさせないでください。細かな条件は、卓球の細かいルールで確認できます。
サービスの正当性に確信が持てない場合
サービスが正しいか確信を持てない場合、試合で最初なら、ラリーを中断して注意できます。それ以後の不明確なサービスは不正として扱います。注意は主審と副審を合わせて1度で、それぞれが別々に注意するわけではありません。
明らかな違反なら、最初からフォールトです。「最初は必ず注意で済ませる」という扱いにはしません。何が不明確なのかを伝え、判断に困ったら審判長へ確認しましょう。
タイムアウトとベンチのアドバイス
タイムアウトは1試合に1回、1分以内です。ラリーの間に「T」のサインで要求します。主審は要求した側の手で白いカードを示し、その側のコートへ置く手順です。大会で用意された道具と運用を事前に確認してください。
要求を受けたら、どちら側のタイムアウトかを記録し、時間を管理します。詳しい使い方は、卓球のタイムアウトの基本も参考になります。
一般の大会では、ラリー中を除き、試合を遅らせない範囲でアドバイスが可能です。高校生以下の大会はゲーム間などの休憩時間に限られ、練習終了から試合開始までの間も認められません。高校生以下でも一般の大会へ出る場合は一般のルールなので、大会区分を確認します。
行動違反があった場合
軽い行動違反には、最初にイエローカードで警告します。繰り返す場合は相手に1点、さらに繰り返す場合は2点を与える段階があります。その後も続く場合や重大な違反では、審判長へ報告します。
初めての担当で、対応やカードの扱いに迷ったら審判長を呼んでください。選手と言い争いながら独自の罰則を作るのではなく、起きた行動を整理して伝えます。
間違えたとき・揉めたときの直し方
サーブ順の誤りは得点を生かして直す
サーブ・レシーブの順序が違うと気づいたら、中断して、その得点から正しい順序で再開します。誤った順序でラリーが終わっていた場合、その得点は有効です。順序を間違えたこと自体で、相手に得点を与えません。
最初のサーバーの記録と現在の得点を確認し、正しいサーバーを示してから再開します。間違いが始まったところまで得点を戻したり、終わったラリーを全部やり直したりしないでください。
エンドの交代忘れと得点板の誤表示
エンドの交代を忘れた場合は、気づいた時点で中断し、正しいエンドへ替えます。終了したラリーの得点は生かします。移動後は、左右の表示とサーブ順も確認しましょう。
得点板をめくり間違えた場合は、次のサーブを始める前に表示を直します。分からなくなったら、両選手と記録用紙を確認し、合っていた得点とその後のラリーを整理します。声の大きい側の主張だけで変更しないようにしてください。
事実の判定と規則の解釈を分ける
球がどこに当たったかなど、責任ある審判による事実の判定には抗議できません。一方、規則の解釈には審判長への申し立てができます。
選手から疑問を伝えられたら、まず何についての質問かを聞きます。説明できない場合や規則の適用に迷う場合は、試合を止めて審判長・大会本部へ確認してください。主審が副審の担当判定を取り消せば解決する、という進め方にはしません。
試合後にすること
終了後は、最終得点とゲームカウント、勝った選手を確認して記録します。用紙の記入欄や確認方法、結果の報告先、誰が提出するかは大会の指示に従ってください。
- 得点板を戻す前に、最終得点を記録します。
- 選手名と勝敗、ゲームカウントの記載を確認します。
- 指定された方法で結果を報告します。
- 次の担当へ、得点板や記録用具の状態を引き継ぎます。
記入方法は、卓球のスコアシートの書き方で確認できます。
審判に慣れてきたら公認審判員も選択肢
継続して学びたい場合は、公認審判員の資格も選択肢です。卓球の公認審判員資格で取得の流れを確認できます。
日本卓球協会の審判法の手引きの案内も学習資料になります。国内のコールや手の合図は、大会の説明や正式な資料で確認し、見よう見まねだけで固定しないようにしましょう。
よくある質問
卓球の審判は英語でコールしないといけませんか?
国内大会では日本語でコールしても構いません。言い方は大会の指示に従ってください。開始、得点、終了について指定された言い方を事前に確認すると安心です。
0点は「ラブ」と「ゼロ」のどちらですか?
ラブとゼロのどちらも使われます。同点は「オール」を使う方法と、双方の得点を読む方法があります。大会で指定があれば、それに合わせます。
1人審判ではエッジやサイドも自分で判定しますか?
1人のときは、主審がエッジやサービスを含む事実の判定と時間管理を担います。ラリー中は得点板から目を離し、ボールと選手の動きを確認してください。
サーブの順番が分からなくなったらどうしますか?
最初のサーバーの記録と得点を確認します。誤りがあれば中断し、終了したラリーの得点を生かして正しい順に戻します。解決できなければ審判長へ確認してください。
主審と副審の判定が違ったら主審が優先ですか?
主審がすべての判定を覆せるわけではありません。副審が担当する範囲の判定を尊重し、規則の解釈に迷う場合は審判長へ確認します。